楽しかった


村上春樹1Q84
なんかものすごい久しぶりに小説読んだなぁ。
羊をめぐる冒険思い出す。やっぱ、良い作家ってイメージを捨てないっていうか。
あるいはその最初のイメージのみを方法を変えながら表現し続けるっていうか。
独特の暗さ。

村上春樹って昔からけっこう癖がない無国籍な文体って思っていたけど、読みづらいって友人も結構いて、でも、癖が無いから、海外なんかに翻訳しやすいのでは、受け入れやすいのではないかと思っていたけど、やっぱ独特のリズムがあるんかな。
あるいは、全然知らない音楽や小説のディティールをこと細かく描写するとことか、いつも主人公は、少しくたびれてて、女性にもてて、やれやれってすぐ言って、その斜に構えたシニシズムな感じとかが苦手な人は苦手なんかな。
でも、自分は結構、ぐいぐい引き込まれる。

タマルが青豆にプルースト勧める場面があって、
「いや。俺は刑務所にも入っていないし、どこかに長く身をかくすようなこともなかった。そんな機会でもないと『失われた時を求めて』を読み通すことはむずかしいと人は言う」
って本当にそう。
随分昔、駐車場で昼も夜も働いてた頃プルースト読んだ。小さなプレハブ小屋でお客さんに時々チケットを渡すかたわら。
あの時期、自分は囚われていたのか、どこかから身をかくしていたのか。
ある画家が、作品は充実しすぎていては駄目で、少し未完の部分が必要。なぜならその隙間に批評の言葉が入り込むから。って言ってた。この小説も、つい、いろいろ解釈を語りたくなる。
久しぶりに毎晩、続き読むのが楽しみだったから、読み終えると、夏が終わったみたいにうら寂しい…。