孤独な旅人


モダン・アート、アメリカン 珠玉のフィリップスコレクション/国立新美術館

昔、「大草原の小さな家」ってなアメリカンファミリードラマがあって、内容はもうすっかり忘れたのだけれども開拓時代の物語。
その主人公のお父さん、ドラマでは良い夫、父親だったけど、実際は家族を引き連れて不毛の土地に行き、開墾し、人々を呼び、新しいコミュニティーをつくりあげる。けどしばらくたって落ち着いてくると、またそぞろ新しい土地を求め移動を始め…と周りの人々を振り回し続ける人だったらしい。
想像するに、場所が不毛であればあるほど、先住民の抵抗があったりならず者が現れたりすればするほど、燃えるっていうか、力が湧くんだと思う。というのも潜在的な欲望としてゲッセマネの祈りや荒野での悪魔の誘惑、殉教した宣教師を追体験したいっていうんがあるんじゃなかろうか。そしてその困難の大きさが自らの正しさを自動的に保証してくれる、みたいな。
並ぶ絵画はストイック。愚直。
ヨーロッパのモードもすごく真面目に自家薬籠中の物にしようと苦戦、超克していく。
モダンアートの、アメリカ人の途方も無い孤独さが胸をうつ。
くらべて、日本って不健康に明るいよなあ…。