「株式会社という病」平川克美講談社現代新書
株式会社というシステムは常に「病」(=欲望)を織り込んであり、それを切り離す事は不可能である。もっといえばそれをつくり出した人間の病、欲望が反映されている。やっぱり、自分の働いている会社、或は投資している会社、もっといえば自分自身が、より多く給料もらいたいし、より配当が欲しいし、羨望を、憧憬を、他人の欲望を欲望する。で、じゃあ開き直ってその黒い欲望を剥き出しにするのが良いかっていうと、もちろんそれはちょっと…という感じ。で、そのちょっと…っていうのがここのところタガが外れてきてあっちでポロリ、こっちでボロリと剥落、まあ端から見てもえらい事になってきている。けれどもそういう不祥事(?)をその本人の資質に落とし込むのではなく、自分(自分たち)の責任として言及する、その慎み深さというか知性というか病の自覚、自分たちが積み上げてきた結果そういう社会になった、そういう社会を望んでいたのは自分たち自身である、ってそういう視点を持ち得るところがこの人の素晴らしいところというか信頼できるところというか好きなところ。知識人って感じ。解説の湯浅誠の文章がまたきれまくってて感動的。