寺田政明展 「発芽する絵画」/熊谷守一美術館
「近代再考」という展覧会で「夜の花」という作品で初めて知り、いつか他の作品もみてみたいな、ってずっと思っててようやく出会えて嬉しい。
植物の断面や顕微鏡で覗いたミジンコみたいなドローイングや。テリーウィンタースみたいな、デロリ。
池袋モンパルナス、エコールド東京なんてのがあったのか。
画集をみると晩年になるにつれて作品は凡庸になっていき、その辺りは、幼少の頃、蛍を捕ろうとして足を骨折し、以降障害が残る。その為、徴兵されないが、シュールレアリズムは軍部に弾圧され、仲間は逮捕、監禁。志願して従軍画家になり中国を取材。戦後、欧州に留学を企てるも、最初の金策は絵が思うように売れず断念(その後は成功し何度か渡欧)。が何やら深い影を落としてるんだろうか。振る舞い方が同世代の松本竣介や麻生三郎と評価を分かつ一因になっているのか。生涯良い作品のみを作る困難さ(残酷さ)みたいなのも合わせて見えてしまう。
けど、脂ののった会場の作品群は熊谷守一にもひけをとらない独特の輝きを放っている。