欣喜雀躍


避暑に図書館に行ったら、ジャック・ケルアックオン・ザ・ロード(スクロール版)」があったので借りる。
スクロール版では登場人物が実名になっていて、ディーン・モリアーティやサル・パラダイスはここにはいない。
いまいち夢中になれないのは、20歳の頃と遠く離れた場所に今立っているから。(ホーボーやヒッピーがロマンティックなイメージで捉えていたのが、リアリズムとして目の前にある)
でも読み返して、あぁ、やっぱりいいなぁ、と思ったのは、ニール・キャサディ(ディーン)の狂気じみたエネルギー。無垢で純粋で、社会的上昇志向を断ち切り、全力で笑い、走り、喋る、常にそこには無い何かを、求道者のように、徹底的に真面目に、愚直に希求する。(だから、逆に自己幽閉、自己処罰に見えてさえ来る)
いろいろあるけど、自分と異なる信仰・信条の隣人(おおげさにいえば敵)を、少なくとも建前上は排斥せず、共存の道を探る努力をあらゆる階層の人が共有していたのだから、やっぱり古き良き時代だったんだと思う。