半覚醒、ベッドの上


ポールオースター「闇の中の男」
大きく二つに分かれていて、前半は、困難な問題を抱える中年というか、もう老人か、彼の眠れぬ夜の飽くなき妄想世界。ところが、その妄想世界の個々の住民には過酷な現実の出来事とし実在し、しかもそれは平行世界としてその老人の行きている世界と地続きにある。というと、なにやら荒唐無稽、訳が分からないけれども、じゃあ、中東で、アフリカで起きている出来事は果たして自分たちに地続きの事として捉えられているか、むしろ、夢の中のことのように、日常ではすぐに忘れてしまう泡沫的関心と少しも違わないことを指し示している。
一方、後半はその男の孫娘とディスカッションしながら困難な現実(「このけったいな世界が転がっていくなか」)から恢復する道筋を探す。