「それで、何が、悪いという気もいたしますけど」


大江健三郎「美しいアナベル・リイ」「水死」
新しいものも古いのものと絡み合ってて、全体小説というか、スピンオフ小説というか、読みながらも以前の小説を思い出している(読み返すよう、読み直すよう促している)。
引用された詩はいつも原作者よりも魅力的で、(感動してそのブレイクやイエーツを買って読んでもどうも高揚しない、つまり自分はいつも大江解釈に感動している)接続の仕方、解釈の巧みさ、比喩(言葉)の豊かさは、日本人の小説家ではやっぱりピカイチで、化け物なみ、もうこういう作家は今後現れないと思う。