いるかホテル




打ち合わせまでに早く着いたので、先にインターネットで予約した激安ホテルにチェックインしようとしたところ、その外観を見ただけでうわーってなって思わず素通りしてしまう。というのも玄関の外ガラスから見るフロントは真っ暗で手書きの宿泊プライスが貼ってあり濃厚な怪しさが漂う、深淵を覗き込んだような(あるいは逆に深淵から覗き込まれているような)虚無感に襲われる。今からキャンセルなんて無理だな、と無力感にうなだれつつ荷物を抱えたまま打ち合わせに向かい、いやいやしながら再びホテルへ向かう。
けれども、中は違った。「羊をめぐる冒険」のいるかホテルのような古くて懐かしくていい感じ。羊博士の住んでいる部屋とかありそうな。