死んだ爪


椅子に座った状態で背もたれ部分、自分の背面に向かって過度に体重をもたげ、椅子前脚を宙に浮かした状態のまま、仰向けにひっくり返るか返らないか絶妙のポイントを探り維持しながら無重力感を楽しんでいたところ、急にバランスが崩れ、前側に倒れ込んだ際、椅子前脚が自分の足の親指に直撃し、内出血を起こしてしまった。数日後、爪は真っ黒になり一切の活動をやめ感覚もなくなる。死んだ爪。ところがまたしばらく経つと、根元部分に隙間が出来、そこから新しい爪がのぞいている。新生爪が古い死んだ爪を押し出している。