それから夜


たまに眉毛の中で一本だけ他より長く伸びているのを見つける。たまに左耳に一本だけ毛が生えてるのを見つける。思うに不思議なのは、いつもそれらは伸びきった状態で見つかるということ、つまりその成長過程がすっとばされている、何か一夜で颯爽と伸びたかのような印象を与えるということ。それに似た事として思い出されるは、20代前半に円形脱毛症になったことがあって、あれもある日突然、あれ?って見つかって気にしているうち半年後には、いつの間にか治ってて、しかし確かにそこにあったはずの名残というか痕跡というかそういうものが一切見当たらない。イメージとしては、森の中に出来た空地(ミステリーサークル)は月日経るうち、実生の芽が出てきて低木になり高木になって周りにとけ込んでいく感じ、けど相反して実際は木々が少しづつ移動、たがいの間隔を広げることで空地を消滅させている。おそらく出現したのも一夜なら消滅したのも一夜。
昨日の終わりと今日の始まりの間には全く異なる時間が流れている。