労働日


帰り、バイクで送ってもらう途中、突如尿意をもよおし(事務所でウィスキーを勧められるだけ飲んだから)、もうあと少しで着くところまで来たのに急遽コンビニに寄ってもらい、間一髪事なきを得た。あとひとつ信号に捕まるともうアウトだった。
尿意はバックシートに跨ってすぐに萌芽し、信じ難い速度で成長していった。歯を食いしばってみたり、下唇を噛んでみたり、固く瞼を閉じてみたり、気を紛らわせようとするあらゆる努力は肥大化したそれの前では無力だった。後輪の絶え間ない振動が常に下腹部を刺激し続け、しまいには心が弱くなって粗相しても高速で移動してるから着く頃には乾くか、という不良な考えも浮かんだ。