脳ガス爆発


熱帯雨林の彼方へ」カレン・テイ・ヤマシタ
カズマサ少年の額の中心から浮かんで回転を続ける奇妙なボールは、彼が鉄道会社に就職した際、線路の異常を感知するメーターとして有用になるとかという話が淡々と続いたところで唐突に「さて、おそらく、ここまでおつきあいいただいた読者は、私が他ならぬそのボールであることに気付いているにちがいない」ときたから、思わず「んなこと分かるかいっ!」とツッコミを入れる。夫が溺愛する鳩に嫉妬した妻が鳩を捨て去るがそれが伝書鳩になったり、その伝書するたわい無いメッセージが箴言・予言として注目を集めたり、三本目の腕を持つ男・三つ目の乳房を持つ女が現れたり、異次元の物質が現れたり、めまぐるしく移り変わりスキーのモーグルのよう。ホドロフスキーの映画とかバロウズの小説とか、よく分からない、理解を超えた凄いのに出会ったという感動がふつふつする。