ハリケーン


「僕らが漁師だったころ」チゴズィエ・オビオマ。
仲睦まじい兄弟らが、釣りの帰りに出会った狂人に「お前(長男)は弟に殺される」という物騒な予言をされる。一笑にふせとけば良いものの、その言葉は呪いのように長男の内面を侵食していく。そしてそれはウィルスのように他の兄弟まで感染していき、こらえられない。ふと気がつくと潮目が変わっていてどっちに向かって足掻いても沖に流されていく。どんなに注意深く用心していても。内戦、クーデターの硝煙がいたるところからたちのぼり、暴力が真っ黒い口を開けてヌラヌラ光っている。