ライク・ア・ハリケーン


10代の終わり頃か、ニールヤングを初めて聞いたとき、なんか頼りないなあ、殺気がないなあ、なんて思った。その頃はもうちょっと尖った感じとか好きだったかと思う。
で、しばらくたって、お金ないとき、中古レコード屋さんに二束三文で売り払った。
30過ぎてから、時々ふと、なんでかあのモタモタするようなギターが、美しくない声が、愚直な歌詞が気になって、買い戻した。
上手いとか味があるとかじゃない。真実味があるとか、プロテストソングだってわけでもない、ただなんとなくじんわりと沁みてくる。
そういう感じを重松清「せんせい。」に書いてあって嬉しくなった。

主人公の高校生の弾いたライク・ア・ハリケーンを聞き、それはロックであって、ロールではないと先生は批判する。
「ロックは始める事で、ロールはつづけることよ。ロックは文句をたれることで、ロールは自分のたれた文句に責任とることよ。ロックは目の前の壁を壊すことで、ロールは向かい風に立ち向かうことなんよ。(……)ロールは、オトナにならんとわからん」