リアルな嫌な夢


M市の有名なラーメン店にアルバイトとして入る。自分より一回りも若く、体力、気力も溢れた男性従業員達(おそらく皆、昔不良だった)の後ろで、それっぽいことを見よう見まね、さも健気に働いているような振りを演じる。
その後、会長と呼ばれる創業者(元暴走族のリーダー?)に店を案内してもらうが、まずは厨房ではなく外の母屋の一階を改装した、刷毛を洗浄する為の大きな部屋へ。今日のお客さんは、刷毛の根元にタレが残っていると不快に思うので、毎日、刷毛は分解し洗浄せねばならない、それがこの店の味より大切なポリシーと得意気に講釈。
休憩をはさんだ後は、爪楊枝で机の木の割れ目に入り込んだ埃の掃除。合間に来る常連客は大抵昔の不良仲間(?)。
「へい、いらっしゃい!」と言ってみるものの、その声は途中でうわずり、明らかに新人っぽさ、不馴れな感じが出てしまいばつが悪い。
そもそも、自分はラーメンが大好きってほどでも、将来自分の店を持ちたいわけでも、賄い目当てでもないのに、どうして日曜の折り込み求人チラシ見て、こんな味ではなく刷毛を大事に扱うような店で働こうと思ったのかと心底嫌気がさし、明日、会長に辞める意向を伝える決心する。おそらく会長は、現在は隠している暴力性を遺憾なく発揮し、自分は完膚なきまで打擲されるだろう、ともすれば、10人近い店員総出の袋だたきにあい、半殺し+半殺し=全殺しになるまもしれない。が、それでもここで働き続けるよりはまし。

…目が覚めてホッとしたけど、なにやら生臭いほどリアルな夢で、人生70年と考えれば折り返し地点を過ぎ、これまで生きて来れたのが僥倖、これからはブラックラーメン店ではないにしろ慣れないアルバイトでもはじめなければならない経済状況におちこみ前半のツケを払っていくのかとしょんぼりしているところである。