底揺れ


せんだいメディアテーク「記録と想起 ーイメージの家を歩くー」
会場内はパーテーションによって区切られ、おのおのダイニングキッチンやリビングルームとして家具、家電が配置され、失われた日常生活が再現されている。部屋の片隅に、あるいは中央に置かれたテレビモニターから、放射能汚染により帰れない人や、津波で自宅を流された人、内陸部で地盤が沈下し住めなくなった人、様々な被災者たちのインタビューというかドキュメンタリー映像が流れ続ける。
皆、しゃちほこばる事なくカメラに向かって淡々と語りかけ、その言葉はこちらに響いてくる。最初そのスムーズさ(カメラの抑圧性、暴力性がみじんも感じない)はインタビュアー、カメラマンの質からくるのかなと思ったけど、後になって、我々が想像できないほどのカタストロフを経験した人は、語る事(聞いてもらう事)によって自ら癒やすというか平衡を保とうとする部分があってそれがドキュメンタリーという手法によってうまく回路が結ばれたということがあるのかもしれないなと思う。
外でピシャリ、ピシャリと何か打つような音が聞こえるので確認しに行くと、泥の中でとても大きなヒラメがヒレで地面を叩いていた話が印象に残る。