幽冥界


満員電車に乗るような機会は極力避けて生きてきたけど、たまに乗らなければならない、また不通遅延により遭遇してしまう事があって、今日、そのような浮き足立つほどの電車に入ってしまい大変後悔したけども、驚いたことに、皆がドア側(電車の中央から外側に向けて)に体の方向をそろえている中、ドアに背をもたせて反対に体を向けている男性がいた。通常、人間にはテリトリーというか対面する人物に対して(接吻を除いて)50センチ程度開けないととても気まずい、その内側に入る事それはすなわち喧嘩を売っているということになるので、本能的にそこに空間をつくってしまう。で、男性は腕組みをして目をつぶり、悠々としている痴れ者、そのため前の人は足腰を踏ん張り腕を壁につけ腕立ての要領でその50センチ程度を死守しようとする、おかげで我々はそのしわ寄せ、より窮屈になり、自分は前後10センチの隙間しかなく、うしろの人の鼻息、吐息が耳元に吹きかけられる(逆に前の人には鼻息、吐息を吹きかける)。