久しぶりの映画館


「神々のたそがれ」
奇跡の力を使い果たしたイエスが説教を続けるも民はなんら啓蒙されることなくただ反知性的営みを繰り返し、そのうちイエスも匙をなげてしまう感じ。無能かつ不遇のケンシロウのいる世界で、人々はぬかるみの中で延々と「ひでぶ」「あべし」って言い続ける感じ。人々は吐き気がするほど無関心無教養で知に対してある種憎しみに近い感情を持っている。
タルコフスキーの廃墟のような室内には天井から紐の様な布の様な蔦の様な不快なものが水を滴れつつ沢山垂れ下がっていてそれが視界を遮り鬱陶しい上、ドキュメンタリーのように(あるいは盗撮のように)手持ちカメラで撮っているので、自分もその世界の中の一員になっているような臨場感があるのだけれども気持ちが悪い。焦点はブレ続け、抑揚もないまま混沌とした終わりなき日常世界を覗き続ける。まさに今のような感じ。