明け方、トロリとした夢の中、膝小僧の上にポトリと何かが落ちてきた。夢現つで払いのけるとそれはカサコソ逃げていった。大きさといい、その身軽さといい、今まで何度か見た事があり、ずっと嫌っている奴にソックリである。完全に目が覚め、毛布をおそるおそる捲るが奴の姿は見えない。しかしもし、奴がいた場合、うちにはまめさんがいるからそれはもう大騒ぎになるはずで、やっぱり夢だったかと思い直して、それでもまだ何だか嫌な感じが抜けないまましばらく布団の上でグズグズして、それから起き上がってタバコを吸っていると、不自然な位、まめさんが甘えてくる。何か怖い夢でも見たかのように、忌わしい出来事に遭遇したかのように。