位相空間


通勤時間が長いので、前から読み直そうと思っていた大江健三郎「燃え上がる緑の木」三部作を読む。奥付を見ると95年。大学一年生の頃に読んだのだろうけど、綺麗にすっかり内容を忘れているので、初めて読むような感じ。書かれたのはオウム心理教テロ前、そこにはその空気を察知している、先駆けている、また原発爆発も射程に入っていて作家の想像力先見性はたぐい稀だと思う。工房は、丹沢麓の盆地にあり、そばには川が流れている。駅から車で山を越え谷に入る下降と上昇の運動が大江小説世界とリンクする。そのままの流れで「宙返り」を読む。「懐かしい年への手紙」からつながっている。