珍道中6


新聞の広告。

インタビュー記事。

朝、ギャラリーへ行き、今回作った作品を展示する。入り口には大きな幕が垂れ下がっている。ひえ〜。

建物に入るとこちらです的案内もある。

額縁屋さんがぶんぶん腕を鳴らしながら無慈悲に暴力的に額装してくれる。初日にバスに乗った時、タクシーに乗った時、どちらもえらく速度を飛ばし、間断なくクラクションを鳴らし、うわっやばい!って心が悲鳴をあげた。その時と同じ感覚。
日本から送ってもらった作品は到着しておらず、猛烈に不安になる。
提出した作品が額装されてたり、されてなかったりバラバラで、されていない紙の作品は画鋲で留めるよう指示される。日本では紙に穴を開けないのが普通、大抵、小くて磁気の強いマグネットで作品が痛まないよう留める。

昼は市内の市場を散策して各自自由でということだったけど、時間の都合もあり、皆でスパゲッティ屋に行く。久しぶりにケチャップ味でそこはかとなく安心する。


昼食から戻ると、豪奢な花輪が置かれレッドカーペットが敷かれセレモニーの準備が整っている。それから一時間、入念なリハーサル。礼をする方向、テープカットの仕方、また日本作家代表挨拶で述べる主催者や政治家への謝礼の言葉の名前順番等、何度も訂正が入り、絶対間違わないようピリピリ神経をとがらしている。

前座のアコーディオン奏者登場。哀愁のあるメロディーを奏でる。司会進行役の女性が美人。眼福。命の洗濯。

無事セレモニーが終わると、有力者たちは形だけ展覧会会場を見て早々と帰られる。ギャラリートーク的なものがあるのかと、一応、作品に対してのコメントも考えていただけにちょっと肩透かし。盆栽研究家というお客さんと話す。お互い片言なので意思疎通はできていない。ごまかし笑い疲れる。

何かいまいち盛り上がりにかけるが、まあ、無事、オープニングを迎えることができた。
ところで、今回、韓国の作家さんは通訳、制作と獅子奮迅の活躍を見せたリーミンさん以外、まったく接触がなく、スケッチ旅行も食事も飲み会も日本中国だけで交流した。なぜ?

広沢仁

川村愛さん 日本側の紅一点で、非常に気がきき、また好奇心も旺盛で行動力もあり、偉いなぁと感心すること多かった。

高橋学説さん。彼とは5日間同室で、美術のこと、政治のこと、原発のこと、色々話し合え勉強になった。また夜遅くまで、朝早くからもくもくと絵を描いていた。いつも自分は彼より早く寝て、遅く起きた。彼の提出したキャンバス作品だけが最後まで出てこず、通訳の韓国青年ファンさんと一緒に探しているとなぜかゴミ捨て場から見つかった。ファンさんも大変驚き、思わず「オーマイガーッ!」と叫んだ。

藤内達彦さん。昼食後、ギャラリーに戻るとコカコーラの缶がゴミと間違えられて捨てられていた。「Don't Touch」とハングルのキャプションをつけてもらったにもかかわらずに。彼は何処でも誰とでも仲良くできる旅のプロ。初日、ホテルに集合する前、知らない人と友達になり、そのままドライブに連れて行ってもらったそう。自分からみれば信じられない。彼は高校時代の先生。

左:ワンツーチーさん 右:リウピンさん
ワンさんは「王子」という漢字で、日本語でも「プリンス」の意味だよ、と教えるとものすごく喜んだ。ワンさんもリウさんも中国では学校の先生をしているそう(多分)。

リアンウェイユアンさん 中国側作家は皆、四川美術大学の同級生だそう(多分)。

ジャンジンさん展示中

韓国側作家

韓国側作家 右:リーミンさん

韓国側作家


二次会会場。バイキング。正面演壇にはマイクも用意されていたので、じつはここで何か一言ずつ喋らされるのかとびびっていたけど、何もなく終了。

送ってもらった追加作品がようやく届いたが、もうすでに飾る場所はなく、まして置いてかえるのも不安なので、持ち帰ることにする。大きいカルトン抱えてタバコ吸っているとワンさん達が見せてよと言ってきたので、ホテルに戻って、彼らに見せると、とても気に入ってくれて、買ってくれると言う(多分)。韓国ウォンの手持ちが無いから、では中国元でと支払ってくれる(本当)。
予想しなかった事が次々と起き、自分の情報処理能力を上回って、もう何が何だか、とにかく、負けたっていう気持ち。