触発自作テーブルソー2 電気
気がついたのだけれど、今持っている安い丸ノコは刃のサイズが小さくテーブルソーに改良した場合、天板から出てくる刃が短く一度で切れるサイズが限られてしまう。最低でも65mmは必要なので、新たにインターネットオークションで中古の丸ノコを購入する。でまたカバーを外して配線を見てうーむとなる。
帰りに図書館へ行って電気入門的な本を数冊借りる。分からないから、何を勉強すれば良いかそれすら分からない。借りた本は、資格取得の為の本で簡単そうなものもオームとかジュールとかでまったく途方にくれる。それでもペラペラ拾い読みしているうち、思わず唸ったのは「老人と孫と乾電池」という豆知識、「昔は老人に新湯は良くないと孫と一緒に入らされた。風呂に入ると湯の中に何かがとけこむのだが、それが若い人だと量が多い。だから老人は若い人の後か、一緒に入ると、とけこむものが少なかったり、若い人のとけこんだものが逆に身体に入って、疲れが少なく、元気になるという。乾電池の仕組みもこれと良く似ていて、亜鉛が若い人、炭素が老人、電解液が湯である。」
以前読んだ野坂昭如の小説で似たようなくだりがあって、修学旅行で泊まりに来た女学生のあとの風呂に老人が忍び込み、湯に浮いたテラテラしたものを恍惚としながら自分の皺々の身体にすり込む、翌朝出て行った彼女たちのまだ温もりが残った布団に潜り込み口腔いっぱいに吸い込む、みたいな話で、うわぁよくこんな生臭いこと考えつくなぁと思ったのだった。それがどの小説だったか覚えていないけど野坂昭如だったのだけは確か。
台湾10
朝、近所の店でサンドイッチと肉まんを買いビールで流し込む。まあ疲れた、疲れた。午後までビール飲みながらだらだらしてそれから画廊に向かう。Yさんにお礼を言うと、新しい自分に出会えましたか?とか優しく聞かれる。オススメの食堂やレストランにはほとんど行けなかったが、ひとりで電車やバスやタクシーに乗り、小さな店で食べれたり、おおむねよく頑張ったな、と思う。
夕方、銅版を習い始めたという若い作家さんが来てくれる。台湾版画事情などいくつか教えてもらう。他にも、チノパンに白いシャツ肩掛け鞄の中年男性が来てくれて長々と話しをする。Yさんいわく、作品を買ってくれたことはないのだが、毎回展示の時には来て延々喋るだけ喋って帰っていく人だそうで、彼が何者なのか誰も正体を知らない。
近所に住む若い方が見にきてくれてバナナをくれる。本当はもっと画廊にいて接客しなきゃいけなかったなぁと思う。
夜、チャーハンを食べに行く。台湾クラシックビール。キリンクラッシックラガーのような。苦くてうまい。しかし今回台湾ビールむちゃくちゃ飲んだな。
台湾9(自分探しの旅・高雄)
台南駅から普通電車で高雄へ行く。トロトロと1時間くらいローカル電車の旅。前に座っていたおばあさんが、その大きなリュック重そうで鬱陶しいから、下に置くか上の棚に上げろと言ってくる。高雄までの切符は購入していたが、帰りは左営から新幹線で帰るので、左営で降りてコインロッカーに荷物を預けることにする。
そこから地下鉄で高雄へ。
高雄では友人が展示しているのを聞いていたのでそれを見に行く。住所を頼りになんとか辿り着くがドアには鍵がかかっている。呼び鈴があったので鳴らしてみるが中から何の気配もない。スマホで調べようと思ったが、ホテルしかWiFiが繋がらないので役に立たない。あとでホテルに帰って調べたら14時からオープンだった。残念。
しょうがなく次の目的地、「駁二芸術特区」へ向かう。大きな敷地の倉庫群を改装してギャラリー、レストラン、小物売り場になっている。横浜レンガ倉庫のような。それよりももうちょっとアミューズメント化しているというか。本当に子供向けの施設(子供騙しではなく)が充実していて、国をあげてバックアップしているのだと思う。だから若い子連れの夫婦は活用するし、またそれによってより充実してくるのではないだろうか。80年代の日本ではきっとこういう風だったんだろうと思う。巨大迷路や巨大滑り台、アスレチックが色々なところにあってよく連れて行ってもらったものだった。思えば幸せな子供時代だったし、その子供時代の祝祭感覚の記憶があるというのは我々の世代が最後なのかとも思う。
ジャーっと出たり
止まったりする。
かべ犬
傘屋?
地下鉄とタクシーで「左営蓮池譚」へ。
「龍虎塔(ロンフーター)」龍の口から入り、尻の穴から抜け、虎の尻の穴から入り、口から出る。
胎内
塔に登って見下ろすと、手すりが異様に低く、ポテンと落ちてしまいそうで恐ろしい。
他にも奇妙な建物がある。
湖畔では釣りをしている人が多い。
「春秋閣(チュンチウクー)」ふたたび龍の口から入る。
永い年月によって半身が吸収されている。
鬼ごっこ
ちょっとびっくりした。さようなら。
「春秋閣」のさきっぽにある「五里亭(ウーリーティン)」
そこからまた湖畔を汗ダラダラで歩く。犬がやたらと多い。野良犬っぽい凶暴な顔をしているがこちらを威嚇するでもなくのんびりしている。
屋外カラオケ。スマホを向けるとノリノリで「イエ〜イ!」と言ってコケティッシュなポーズをとられる。歌詞は分からないが、明らかに音程があっていないことは分かる。酔っぱらっている?他にも湖畔で携帯カラオケで歌っている年配グループも多くみかけた。なんか良いな、ここの雰囲気。
「玄天上帝像(シュエンティエンシャンディシャン)」
近づくと迫力がある。
釣り。帰りのタクシーで気がついたけど、奥に見える黄色いもの、子供むけプールだった。けっこう汚い水だと思ったけれども…
帰りは高鉄。紛うことない新幹線。
駅弁を買って食べる。
沈む夕日を眺めながら楽しかったなぁ、もう少しいたかったなぁ、嫌なニュースの多い日本に帰りたくないなぁ、と思う。1時間半(!)で台北に着く。ホテルに戻り、足の豆にばんそこうをはる。
台湾8(自分探しの旅・台南)
つげ義春的世界が残っている。
神農老街だと思うのだがいまいち確信が持てない。
赤崁楼前のバス停から「安平古堡(あんぺいこほ)」へのバスが出ているはずだからそこで待つ。ところが時刻表を過ぎても全然来ない。不安になってキョロキョロしていると、道で宗教のチラシを配っているおじいさんが「ここで待っていれば良いよ」と教えてくれる。暑くて汗がダラダラと流れるのだが、顔の表面の皮膚はチリチリとして、不安なまま30分くらい待つ。ようやく目当ての番号のバスが来たので大きく手を振って乗る合図をする。おじいさんは良かったね、的な微笑みを送ってくれる。反対にバスの運転手はぶっきらぼうで「安平古堡」と書いた手書きのノートを見てもウンともスンとも言わない。しばらくすると面倒くさそうに顎をしゃくって乗れみたいなジェスチャー。うわ〜、怖〜、と思っていると何か言ってきて、料金を先払いしろと言っているみたいだがいくら払うのか書いてなくよくわからない。親指、人差指、中指を突き立てて何か言っているので30元払う。あとで考えたら今まで乗ったバスはだいたい15元くらいだったから13元だったのではないかなと思う。親切な人もいれば不親切な人もいるのでまあしょうがない。
安平古堡は、オランダ統治時代の遺跡でレンガ造りの要塞で格好良い。風の谷のナウシカの墓所の様な感じ。木陰で休むと気持ちが良い。それから歩いて安平樹家へ。ドロドロの木が家屋を抱きしめている。自然の力というより、SF的。意思を持った植物が人間たちを飲み込もうとしているよう。紱記洋行は蝋人形館とガイドブックに書いてあったけど、一体もおらず。持っているのが5年前のだから色々変わったのだろう。日本もここ5年で大きく変わった。帰りはさっきのバス乗るの嫌だなぁとかなって、走っているタクシーを止めてホテルに帰る。タクシーを止めるために上げた手がわりと自然な感じに振る舞えたように思え、旅慣れてきた?とか車の中でほくそ笑む。
部屋でビール飲んで少し休んでからYさんに勧められたお店に行こうとするがたどり着けず、あきらめて蝦仁肉圓とのぼりが出てたのでここで食べる。
台湾7(自分探しの旅・台南)
思い出深い台中に後ろ髪を引かれつつ、再び自強号で台南へ向かう。田んぼがあり懐かしい景色が通り過ぎる。
まずはホテルに荷物を預け、台湾文学館に行き台湾文学者の直筆原稿や装幀を見る。
台湾の美術館や博物館は実に丁寧に作られていて分かりやすい。
また子供向けコーナーのようなものも充実していて感心する。
「孔子廟(こうしびょう)」
労耐苦刻。何故か意味が分かる気がする。
「大南門(だいなんもん)」
淫靡な気すらする。
フェイクの壁でカムフラージュしている。
音がするので見ると裏側に高校球児たちが練習している。
芝を刈っている。
灰皿だと思う。おそるおそる一服する。
気温31度。台南は暑いよ〜と言われたけど東京より涼しい。風が心地よい。高温多湿にオリンピックなど狂気の沙汰である。
手芸品?
五妃街。素敵な街の名前だと思う。
「五妃廟(ごひびょう)」
トイレと通りに面した看板からのウルトラマン兄弟。
バイク修理の店先でかしましくしている。
台湾ではどこに行ってもUFOキャッチャー専門店を見かけたけど、お客が入っているのを見たためしがない。時間がずれているだけ?
いっそこのままここで仕事を見つけて暮らしたいと思う。
ベニヤで窓を塞いであってなんとプリミティブなビルだろうと思ったけど、よく見たら焦げた跡があって丸ごと燃えたんだと分かる。
犬
「延平郡王祠(えんぺいぐんおうし)」
そういえば台中のホテルの前でタバコを吸っていると、スーツ姿の男性がフラフラっと道路に出たと思うと、腰を落として両手を膝に乗せて「ジャー」と盛大に嘔吐をした。あまりに立派に吐瀉するのでこっちまで思わず貰い吐きしそうになった。連れの男性が「おい、大丈夫か?」って言ったから日本人だった。
伸びて垂れ下がる気根を切っている。
「臨水夫人媽廟(リンスイフジンバビョウ)」そのまま何となく入ってみる。水子供養(?)的な。2階にあがると年配の女性が壁に向かって体を小刻みに震わせ「ア〜、ウ〜」と呻き声を発しながらトランス状態でお祈りしている。その後ろを通り抜けるのも何か申し訳ないような気がして、ベランダ的な所へ出て外から反対側へ行こうとする。とあろうことか女性が壁に向かってお祈りしていると思っていたのは勘違いで彼女の目の前には空間ぽっかりが開いており、そこからベランダに設置して線香を焚いている大甕へ向かって一生懸命お祈りをしていたのだった。自分は最も失礼な感じ、気付かなかったとはいえお祈りしている甕の前を横切ってしまう。一瞬目が合ってしまったような気がして、スミマセン、ドゥイブチーとつぶやきながらそそくさ外に出る。
台南に行ったらぜひ行ってみたら良いとYさんに勧められたギャラリー。いずれも展示している作家も空間もスタッフもおしゃれ。途中、道が分からなくてレストランの前で優しそうな青年に聞いてみると、わざわざ自分のスマホを取りに戻ってきくれて、グーグルマップで調べてくれる。彼もまた流暢な英語をしゃべり、英語で道を聞いておきながらよく分からない顔をしていると日本語で教えてくれる。恥ずかしいかぎり。
「赤崁楼(せきかんろう)」台湾(中国?)の若い女子グループから撮影を頼まれる。元気があっていっそ清々しい。
「祀典武廟(してんぶびょう)」
「大天后宮(だいてんこうきゅう)」
美女が金の蛇に巻きつかれるくらいの美味さ。
おそらく大小便禁止。
圧倒的数はその本来性を凌駕する。
トマソンが多い。
ドロドロに歩き疲れて、入りやすそうな食堂に入る。チャーハンと羊肉の炒め物、台湾ビールを頼む。猛烈に美味。
ホテルの部屋。リンゴとパイナップルジュースが置いてある。嬉しい。
今回のホテルは一番高級な感じ。日本語ペラペラなスタッフがドアの開け閉めまでしてくれ恐縮する。
文学館のミュージアムショップで見つけた「人生は自分を探すものではない、自分でつくるものだ(詠み人知らず)」という格言トートバックに「自分探しの旅」など愚の骨頂だと一喝された気がして深く恥じ入りながらも購入した。
壊れた機械のように無闇矢鱈に歩きながら寺や遺跡を巡った1日。修行のよう。托鉢僧のよう。