ダブリン紀行1

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成田からドバイ経由でアイルランドへ向かう。夜23時に出て朝6時に着くので7時間かと思っていたけど時差があるので実際は12時間かかる。ドバイ空港では8時間待ち。見知らぬ空港でただ孤独を噛みしめる。ドバイからは近いかと思っていたけどそこからまた7時間半かかる。時々アイルランドの作家が日本に来るけどこんなに大変な思いをして来ているのかと頭が下がる。

なんとかダブリン空港に着いて売店で「リープカード」という「Suica」みたいなのを購入し、バスに乗ってホテルの近くの町へ向かう。購入したカードは旅行者用なのか一般用なのか分からない。

旅行会社でモバイルWiFiを借りていたのでグーグルマップを見ながらホテルへ向かう。世の中は大変便利になっている。

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無事チェックインできて大きく安心する。部屋は105号室だったのでキョロキョロしているとここでは2階が1階だからエレベーターで上へ登れと言われる。部屋に荷物を置いて周辺を散策する。パブに入ってみようかみまいか散々悩んで、ここまでひとりで来れたのだから頑張ってみようと、落ち着いた感じの大人なパブに入ってみる。「ワン、パイント、オブ、ギネス、プリーズ」とバーテンダーに頼むと何かベラベラベラと英語で話しかけてくるが、何を言っているのか分からず「えへへ…」と卑屈な愛想笑いをしていると別のバーテンがやって来て何やらこっちを見ながらお互い話しだし、しばしのち「オーケー、カムヒア」着いてこいと言う。まったく訳が分からない。そのまま奥の扉に案内される。圧倒的恐怖。

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扉を開けるとそこは立錐の余地ない「パブ」。ギターに合わせてジジイが歌い店中が盛り上がっている。なんとかギネスを注文出来たがどこに立っていれば良いか分からないままカウンターの隅で緊張したまま啜る。初めての本場の味は美味いのだか不味いのだか判断できる余裕はない。なんというか地元民オンリーの店で、みんな知り合いみたいで泥酔者もいる。とつぜん映画「トレインスポッティング」を思い出し恐ろしくなる。一杯飲んで這々の態で店を出る。

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店は二つに分かれていて片方はシックなパブ、片方は常連客がひしめき楽しむ地元のパブということだったよう。ホテルに戻ると何故か扉は鍵がかかってきつく閉ざされている。ブザーがあったので何度も押し、扉を半狂乱で叩く。しばらくして受付の兄ちゃんが奥から出てきて開けてくれる。どうも所用で席を外していただけみたい。本当に参る。

ところで後日、アイルランドの作家に聞くところによると自分の泊まっているタルボットストリートはオコンネル通りに面しておりダブリン屈指の治安の悪いところで、そんなところをうろついてパブにひとりで行くなど狂気の沙汰だと半ば感心半ば呆れられた。毎日ギネスを飲みに連れて行ってもらったがこのような客が歌い盛り上がっている店はなかった。